10歳のマリアのブログ

~~直腸がんで抗がん剤治療中の夫に寄り添う妻の気づき~~

Steve Jobsの話「点と点をつなぐ:Connecting the dots」:リンパ腫研究の現状と未来への展望~夫の直腸がん闘病生活と寄り添う妻(10歳のマリア)第64回~

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~日本リンパ網内系学会50周年記念誌発行(2010年)からの引用~

夫の現役時代に投稿したエッセイ集

『リンパ腫研究の現状と未来への展望』 
~日本リンパ網内系学会50周年記念誌発行 (2010年)からの引用~

夫は、直腸がんに罹患しても淡々と受け止め、抗がん剤治療の副作用に苦しんでも「自分の体で実験しているようなものだ。」と言い続けています。自分自身の「死」に関しても無頓着なほど冷静です。それでも、Stanley J Korsmeyer 博士の肺がんと千羽鶴のエッセイ集の中の夫から、Stanとの地上の別れを惜しみ、涙する熱い思いや愛情深さが伝わってきます。

夫が56歳の時、2010年に行われた「日本リンパ網内系学会50周年記念シンポジウム」の中で、1時間の講演をしています。今から13年も前の内容ですが、夫の死生観を形作った体験談を織り交ぜた文章です。

その内容を次の5つの記事に分けて紹介します。

5. IT革命がもたらしつつある変化  Steve Jobsの話

🍁「点と点をつなぐ:Connecting the dots」
🍁「愛と喪失:Love and Loss」「死:death」

6. 死についての私自身の体験

🍁 高橋英伸先生(享年39歳)
🍁 大星章一教授(享年54歳)
🍁 Stanley J Korsmeyer博士(享年54歳)

 

尚、冒頭の 1.~4.は、別にまとめてあります。その記事は、(こちら

最後の 7.も、順次まとめます。



5. IT革命がもたらしつつある変化 Steve Jobsの話

🍁「点と点をつなぐ:Connecting the dotsj」

リンパ腫研究の現状と未来への展望ということで、未来のことをお話しする内容を考えていたが、個人的には、研究そのものは常に3年くらいの間にしたいことについて困ったことはない。むしろ、それらのなかで、何をしないかの選択に困ることが多い。

しかし、このシンポジウムにおいて私自身に求められていることは、個人的な将来の展望ではなく、リンパ腫研究の将来への展望ということであろうと思い、Steve Jobsの話を紹介しようと思った。どれくらいの人が、Steve Jobsを知っているのかよくはわからなかったが、マッキントッシュというパーソナルコンピュータを作り出したアップル株式会社(Apple, Inc.)の創業者であり、現CEOとして知られている(図3)。1955年2月生まれで、IT世代の騎手である。マイクロソフトビルゲイツも同じような年齢である。

彼は、2005年6月のStanford大学の卒業式に招かれ、有名なスピーチを行った。何度聞いてもとても感銘を受ける。

http://www.youtube.com/watch?v=Hd_ptbiPoXM

日本語字幕つきは


www.youtube.com

 

その話を紹介して、若い先生方に将来への指針としていただこうと考えた。

Steve Jobsは「自分は大学を出たことがないので、卒業式にもっとも近づいたのは今回だと思う」と話し始め、「自分の人生に関する3つの話をしたい」と話を開始する。「たった3つのことなのでたいしたことじゃないです。1つ目は「点と点をつなぐ:Connecting the dotsjということ、2つ目は「愛と喪失:Love and Loss」、3つ目は「死:death」について話したい」と言って話し始める。

Steve Jobsは17歳でオレゴン州ポートランド市にある全米屈指の有名校であるReed大学に入学したが、半年もしないうちに、自分の両親の稼いだお金のほとんどが授業料になってしまう大学にいる価値はないと感じるようになり、やめる決心をする(Dropout)。しかし、実際にやめるまで、18ケ月くらい大学にいたらしいが、やめるという決心は人生の中でとってもよい決心の一つだったと言っている。

単位獲得のために全く興味のない授業に出る必要は全くなくなり、自分の面白いと思う授業をとれば(Drop in)よかったと言うのだ。英語のカリグラフィ(Calligraphy)、すなわち、飾り文字の授業は特に面白かったらしいのだが、その当時はまったく何の役に立つか全くわからなかったけれど、とても美しかったと言っている(図4)。

 

実際にReed大学はCalligraphyの授業は全米でベストの大学であり、キャンパスの至る所に美しい飾り文字のポスターがあったと言っている。当時何の役にたつか全くわからなかったが、その経験は、10年後に一気に花開いた(came out)と言う。

最初のユーザーフレンドリー(使いやすい:特定の知識がなくとも使える)なパーソナルコンピュータであるマッキントッシュIIはマウスを搭載し、クリックで使うことができることで有名だが、そのコンピュータにこれらの飾り文字を導入したと言うのだ。

Windowsコンピュータはマッキントッシュのコピー商品(まねしただけの商品)なので、基本的には、私がもしカリグラフィの授業に紛れ込まなかったら、これらの美しいフォントはパーソナルコンピュータに搭載されることはなかったであろうと言っている。

これは、Steve Jobs一流の冗談なのだが、実際にWindows95というコンピュータを動かす基本ソフ卜(OS: Operating System)が出た時には、マッキントッシュとほとんど同じ外見だった。自分が授業をドロップアウトしても、自分が本当に面白いと思うことに集中してやっていれば、その点はいつか将来の点につながる。だから、自分が面白いと思うことを心から信じて大切にするべきだと言っている。その点(dot)は、必ず将来のdotへとつながるからだと言っている。

 

 

 

次回は、次のエッセイへと続きます。

5. IT革命がもたらしつつある変化 Steve Jobsの話

🍁「愛と喪失:Love and Loss」「死:death」