10歳のマリアのブログ

~~直腸がんで抗がん剤治療中の夫に寄り添う妻の気づき~~

第1回「夫の直腸がん闘病生活と寄り添う妻(10歳のマリア)」~駆け足で振り返る夫の闘病生活~

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~駆け足で振り返る夫の闘病生活~    

まさかまさかの展開からブログに挑戦することにしました。夫も賛成してくれましたので、まず『100回』を目指したいと思います。

まさかまさかの展開とは? なぜ『10歳のマリア』? ということを書き始めると、とても長くなるのでそれは第2回以降のブログに回して早速本題に入ります。

夫は68歳、長い間悪性リンパ腫の基礎研究に従事してきた医師です。2年半前に直腸がんステージⅢaの診断を受け、2020年7月9日がん細胞を取り除く外科手術を受けました。主治医と相談してストーマ生活を選び、体の一部の機能を失いましたが本人も納得の手術でした。

退院と同時に抗がん剤治療が始まり、抗がん剤治療の主治医から説明を受けました。夫は主治医の説明に納得して、安心して任せられると言っていました。

一方、私は抗がん剤治療の現実を知り複雑な思いでした。医師の説明では「手術をして半分の人は助かります。その半分の人が抗がん剤治療をすれば、その5分の1の人は助かります。」つまり助かる人は、たったの10分の1ということになります。「助かる」とは5年生存という意味らしいですが、そんなに低い確率のために抗がん剤治療を受ける必要があるのだろうかと自問自答してしまいました。

夫は直腸がんに罹患しても冷静に受け止め、主治医を信頼して抗がん剤治療も淡々と受けていたように思います。その姿を見て夫の科学者としての冷静さを知り、私があれこれ気をもむ必要はないと気づかされました。ただ、抗がん剤治療を受けながらストーマ生活に慣れるまでは本当に大変でした。まさに「夫婦二人三脚の闘病生活」という言葉がぴったりです。

手術から1年半が経ち、抗がん剤治療やストーマ生活に慣れてきた矢先、再発がわかりました。2022年2月1日その時の抗がん剤治療の主治医の説明が忘れられません。「僕のところに再度来られたということは残念ですが、がんは治りません。余命は2年半です。これからは延命治療になります。アバスチンの点滴とゼロータ錠の抗がん剤治療が良いと思いますが、効果はやってみなければわかりません。」

マニュアルのような説明に正直むっとしていました。余命宣告を受ける患者側の心に寄り添うような配慮が欲しかったと思います。一方、夫はこの説明にも納得して主治医の治療方針に従うと言っていました。ならば、私も夫に賛成して、とことん寄り添っていこうと心に誓いました。

幸いその抗がん剤治療が良く効き、主治医も喜んでくださいました。しかし夫のがん細胞は静かにしていただけで消えることなく、じわりじわり、夫から栄養素を取り込み大きくなっていったようです。

再発から1年が経過したつい先日、今まで経験したことがないような強い痛みに襲われてしまいました。ちょうど抗がん剤治療の診察がある日だったので、すぐにオキノーム散(がん患者の強い痛みを抑える鎮痛剤)を処方していただき、今現在痛みがコントロールされています。

先日のMRI検査結果次第で、これから放射線治療が始まるかもしれません。どのような副作用があるのか、どれくらいの効果があるのか、痛みが抑えられるのか、夫もやってみないとわからないと言っています。

聖書に

『明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。』(マタイ6:34)

とあるように、全てをお任せしていく以外ないという心境です。

わたしの愛読書の中に、がん哲学外来の創始者、樋野興夫先生の本があります。その中に、

がん細胞も私たちの一部である」

「がんは突然グレてしまった「不良息子」のようなもの」

というフレーズがあります。夫と共に闘病生活を送っていると納得せざるを得ません。ならば、とことんお付き合いしましょうという気持ちになります。

 

次回に続きます。