樋野興夫先生は、がん哲学外来の対話において、来談者の話を聞きその方にあった言葉を短いフレーズで伝えています。これを「言葉の処方箋」と呼んでいます。
このブログの記事の中でも紹介しています。
樋野先生本「がん細胞から学んだ生き方」より
言葉の処方箋とは
誰かからかけてもらった一言で、人の気持ちは大きく変化します。がん患者も同じで、小さなひと言で悩みや緊張感から抜け出せることは少なくありません。私はこのような言葉の効用を「言葉の処方箋」と呼んで、「がん哲学外来」の対話の軸にしています。
「がん哲学外来」の対話において、私は神経を集中させて来談者の話を聴き、自分の存在をかけて「言葉の処方箋」を出します。言葉というのは、何をいうかではなく誰がいったかが重要なので 「言葉の処方箋」に私自身の言葉を使うことはあまりありません。
南原繁や新渡戸稲造、内村鑑三、矢内原忠雄、吉田富三などの先人が残した言葉を自分なりの解釈を加えて、来談者の心に響くように伝えます。
言葉の処方箋の例
①寄り添う心は 言葉を超える
②病気であっても 病人ではない
③人生の目的は 品性を完成するにあり
④どうせ人は 死ぬのだから
⑤人生いばらの道 されど宴会
⑥マイナス×マイナス=プラス
⑦余計なお節介よりも 偉大なるお節介
⑧あなたのことを思ってくれる人が 世の中には一人はいる
⑨自分の人生の より所を知る
⑩人と比べるから 悩みが生まれる
⑪明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい
⑫いのちに期限はありません
⑬無頓着に 大胆になること
⑭あなたには 死ぬという大事な仕事が残っている
⑮全力を尽くして心の中で「そっと」心配する
⑯本当にいいものは 取るに足らないものの中にある
⑰疾風に 勁草を知る
⑱お互いが 苦痛にならない存在となる
⑲人生は不連続の連続である
⑳自分の人生に期待しない。人生から期待されていると考える
㉑ 目下の急務はただ 忍耐あるのみ
㉒ ユーモアとは ユー・モアなり
㉓ たいていのことは ただ放っておけばいい
㉔ 心と心で対話すれば、どんな人でも笑顔になる
㉕ 犠牲を払って 他人のために 何かをする
㉖ 頂上は一つ。しかし、そこに至る道はいくつもある
㉗「何をするか」よりも、「どうあるか」
㉘ 人と向き合うチャンスは思いがけず与えられる
㉙ 偉大なものの源流は、驚くほど小さい
㉚ 今日は「今日の苦労」で十分
㉛ いい覚悟を持って 生きる